道具としての服 OUTIL


OUTIL(ウティ)はフランス語で「道具、ツール」を意味します。例えば大工さんが使う、のこぎりやハンマーなどは職人の手の延長であると聞いた事が有ります。服もその人の体の延長線です。「こんな動作をするのときの為に、○○部分を□□に作る」作業や用途に叶った道具のように、身につけて「使う」ものでもあります。またフランスのビンテージワークウエアの要素を取り入れたデザインもOUTILの魅力の一つです。
今回は以前、04 STOREのインスタグラムでも御紹介しました、南仏パステル染めについて改めてお話します。
パステルとは黒海沿岸地域が減産のアブラナ科の植物で和名を大青(タイセイ)と呼びます。菜の花のような明るい黄色の花が咲き、葉と茎の部分を使って染料にします。フランスはトゥルーズ地方で、中世の昔に盛んに行われて町を発展させていた伝統染色技法です。インディゴ染料が世に登場するまでは、このパステルが主流だったそうです。
OUTILのデザイナーである宇多悠也さんが、この淡く美しい青であるパステルブルーに強く思い入れ、南フランスへ飛び、現在も染めを行える数少ない職人の下へ向かい、その門戸を叩きました。このパステル染料を日本で使用し、同じように染めても、決して淡い水色に染まりません。トゥルーズの日差しが強く夏も乾燥している地中海性気候と、一年を通して多雨湿度のある日本の気候の違いがそうさせます。天然染めは、土地の光や空気が生み出してくれるもの。そして国の風土、培われた文化がそこに映し出されることもある、知恵や工夫が加えられた技法、それが心の豊かさに繋がります。また淡く染まるということから、「パステルカラー」の語源はここから来ているのだそうです。
パステルブルーを展示会で初めて拝見した時には、ブルーの濃淡がグラデーションとなって会場を埋め尽くしており、その空気に圧巻されました。わぁ!と感嘆の声をあげたのを今でも鮮明に覚えています。

CHEMISIER MILLERY ¥23.000+TAX made in france薄手のコットン100% スタンドカラーシャツ、羽織りものとしても、ウエストインでコンパクトに着る事も楽しいです。 CHEMISIER MILLERY ¥23.000+TAX made in franceリネン100% ミリタリーのスリーピングシャツをもとにデザインされたプルオーバー、両サイドにポケット付き、胸元に内ボタンで開閉できるフラップがあります。

洋服のボタンはプラスチックや貝ボタンなどが多く使われていますが、OUTILのボタンはオリジナルのメタルボタンです。またボトムやジャケットのボタンやカクカンは、やすり掛けされて無骨なあたりが出ています。

チノパンはどんなトップスにも合わせられ、気持ちの良い肌触り、きれいな色味で仕上がっています。高密度ウエポンチノクロス、生地には洗いをかけ風合いが出ています。
PANTALON METZ ¥20.000 +TAX made in japan ・ベージュ/綿100% ・エクリュ/綿55%×麻45%

2タック入り、手縫いで裾まつりをかけ、補強用のテーピングも施してあります。色違いのエクリュは気持ちよい綿麻生地です。

続きまして秋冬の第一便で届いたのは、ベルベットのような風合いを持たせたコットンネル生地のドレスです。

こちらのインディゴブルーが目に止まり、初めに浮かんだのは真珠の耳飾りの少女のターバンの色でした。この素材と色味が合わさる事で存在感たっぷりの雰囲気です。中にセーターやカットソーを重ねて着ることができます。アームも身幅もあるので多少厚手のものを着ても問題ありません。

色はブルーとブラックの二色展開です。ROBE HELETTE ¥28.000+TAX made in japan ブルーはヨーロッパのインディゴ三度染めです。

宇多さんから、生地の制作段階での実験や試行錯誤のこと、フランスでのアクシデントが次の仕事に繋がったりというエピソードを伺っていると、「こういうモノを絶対に作りたい!」という情熱が源にあって、その情熱がまた他の誰かを動かしているのだと強く感じます。青い服の中にも、真っ赤な熱意が見えてくる様です。綿や麻を育てる人、紡ぐ人、生地を売る人、服を作る人、たくさんの人の手を通って一枚の服が手元に届く。OUTILの服にはデザインの普遍性がそこに脈々と流れていて、その中で新しく出会った色や形が出来上がる、そして服に袖を通すというそれだけの行為にも、特別な楽しさを与えてくれます。2017年の秋冬もどうぞお楽しみに!(*パステルについての参考文献 フランス観光開発機構 公式フランス旅行情報『バラ色の街 トゥルーズの青い恵み パステル』2014.10.2掲載記事)
04 カンノ